Windows 7 RTM がリリースされました。動作確認の上で、生じた問題点などをまとめます。

ハードウエアインストール編

ThinkPad X61 tabletの場合(エクスペリエンスインデックスは、3.1)

USB DVDROMや、ドッキングステーション経由にて、DVDROMからインストール。ディスクは、Intel X25M-160GB、問題なくインストール可能、インストール後、Windowsアップデートを数回繰り返し、必要なデバイスドライバは、すべてインストールされる。たとえば、気になる以下の点については、問題なく利用できる。

  1. ドッキングステーション(着脱時のボタンなどは正しく機能する。)
  2. タブレット機能
  3. 指紋認証デバイスでのログイン(コントロールパネル=>生体認証デバイスにて、有効化が必要)
  4. 内蔵SD/SDHC / PCカードスロット
  5. キーボードによる輝度コントロール、サスペンド、ハイバネーシション、外部ディスプレイなど(Fn+F4,F7,F12,Home,End)
  6. 音量ボタン、消音

使えない機能

  1. ロック(Fn+F2)・音量や輝度の画面表示
  2. タブレット(液晶)側の各種ボタン

ThinkPad X61の場合

X61tabletと同様に、問題なくインストール可能。Tablet固有の機能を別にして、同じように利用可能

ThinkPad X31の場合

USB-DVDROMからインストール可能、インストール直後は、Wireless LANを認識しないため、有線LAN接続でのWindows Updateが必要。ただし、ディスプレイドライバ(Thinkpad X31のディスプレイドライバは、ATI Mobility RADION 9000です。)がないため、「標準VGAグラフィックス アダプタ」 ドライバーが導入される。よって、サスペンドができない。

VISTAを使用している場合は、何とかする方法がある。VISTAの C:\Windows\System32\DriverStore\FileRepository にある ati で始まるドライバファイル(たぶん3つある)を Windows 7にコピーし、デバイス(コンピュータの管理=>デバイスマネージャー=>ディスプレイアダプタ=>ドライバーの更新を行い、「コンピュータを参照して・・」=>「一覧から選択・・」=>ディスク使用で、先のコピーしたファイルを選択し、MOBILITY RADION 9000を探して(見つからない場合は、他のコピーしたファイルから探す)、インストールする。以上により、サスペンドが可能になります。ただし、エアロは使えません。

 

動作状況

すべて、クリーンインストールで、メモリは、X61/tabletが、4GB X31が、1GB搭載してあり、X61/X31は、7200rpmドライブに交換してあります。何れも、非常に高速に動作しており、XPからの移行でも速度面においては、苦にならないでしょう。なお、ウイルス対策ソフトは、NOD32を使用しています。

 

ソフトウエアインストール編

Windows 7 にすると、ネットワーク系のソフトウエアにいろいろ不都合が生じますので、注意が必要です。XP->7へのジャンプアップの際には、十分な注意が必要です。

VMware Workstation と NAT (vmnat.exe)

以下の問題点は、VMware Workstation 6.5.3 にて解決いたしました。

Windows 7 上で、VMware Workstation(6.5.3) を導入し、 VMware付属の vmnat.exeを使用すると、pingなどは、通りますが、TCP/UDP通信は、一切使えません。つまり、使えない。逃げる方法としては、ICS(インターネット共有)がありますが、ICSは、アドレスが固定化される。複数のインターフェースを使い分ける場合、大変面倒である。Windows 7では、Netshで制御できない。IPv6のRAを出すリスクがあるなど、全く解決策になりません。VMware(VMware Player含む)をご利用の方は、以下の方法を検討する必要があります。

  1. VMwareを捨てる。 VirtualBOX(3.0.4)がお勧めで、NATもばっちり機能し、VPN問題もなし、ブリッジも問題ありませんが、時計シンクロ問題(Linux/WindowsをゲストOSで使用される方は、問題ないでしょう。)と、NATが機能的ではないという点があります。致命的なのは、このNAT通信におけるパケットロスとジッダの変動が大きく、RTTも安定しないため、大変使いにくいです。安定性を求める方は、全くお勧めできません。なお、VirtualBOX上で、VMwareの仮想ディスクは読めるので、お手軽にテストできると思います。
  2. VMwareは、bridgeベースで頑張り、ブリッジできないとき、たとえば、ダイアアップなどのときは、Proxyで逃げる。たとえは、CCProxyをWindows 7に導入すれば、TCPのリレーをしてくれますから、それなりに、役に立ちます。
  3. NAT32を使う。NAT32は、Windows用のNATソフトです。付属のNDISドライバを、I/Fにプロトコルとして導入し、NAT32を実行すれば、vmnatの代わりに働いてくれます。ただし、VPN問題を解決してくれません。
  4. Portforwarderを使う。SSH系のportフォワーディングを使えば、Proxy的に逃げることができます。

このように、どれも決定的な解決策にはなりません。VMware 7では、vmnat.exeが正しく動作するので、解決できない問題ではありません。したがって、それまでの急場しのぎとお考えください。

上記のVPN問題とは、Windows OS上で、VPNを張った際に、ゲストOSからのNAT通信などが、VPN経由での通信に対応するかどうかという問題で、ICSや、NAT32を使用した場合は、VPN通信を経由しないため、たとえば、Guest OSから、VPN接続先のネットワークへアクセスするといったことができません。

レジューム(サスペンド)後に、TCPがリセットされる。

Windows7では、サスペンド復帰後に、サスペンド前の接続コネクションが切断されます。たとえば、VMwareと、Host OS間で、telnet接続していたら、サスペンドの復帰後には、切断されているということになります。これは、ノートパソコンで、VMwareとホストOS上で、Xで通信して、メールを読み書きするといった作業において、致命的となります。いろいろ調査しましたが、arpなども消えており、I/F単位で、リセットされているのではないかと推定しています。

調査をしたところ、ネットワークアダプタが、無効化されていることがわかりました。復帰後、素早く有効化されますが、無効化された時点で、TCPは切断されてしまします。

解決策は、ありません。

B-mobileのUSBモデムカードが使えない。

USBスティックタイプ(ZTE MF626)のドライバが導入されないため、使用できません。これには、テクが必要です。モデムが、MF626の場合、以下の方法を試みてください。

  1. Telstraの Turbo Connection Managerを導入する(展開されたドライバが必要なので、ゲストマシンや、べつPCでの作業がお勧め)。
  2. Program Files のTelestraのフォルダをコピーして、1を削除
  3. スティックモデムを突っ込んだら、CDROMとして認識されるので、右クリックで取り出し。すると、ZTEの怪しげなデバイスがデバイスマネージャーに3つ現れるので、2のフォルダからDriverを指定して、インストールする。
  4. モデムが使えるようになる。
  5. 以後は、スティックモデムを使えるようにするために、ZTEを挿すたびに、「取り出し」が必要。Telstaディレクトりないに、取り出し用の exeファイルがあるので、これをつかえば、お手軽に使える。

Bluetooth経由でのモデム(DUN)が使えない?

たとえば、S11HTをDUN経由で使おうにも、S11HT側に、DUNが表示されません。(XPの場合は、表示されます。)ですが、正しく初期化コマンドを設定して、ダイアルアップすれば、使えます。

 

まとめ

ハードウエア的には、問題ありませんが、ソフトウエアや、追加のデバイスによっては、いろいろ苦労がありますので、ご利用のソフトウエアがWindows 7に対応していることを確認してから対応されるのがよいかと思います。

 

別表 :Windows 7 で確認したアプリケーション

アプリケーション どないもんか? 備考
Adobe DESIGN CS4 もんだいないようだ とくになし。
AWORKS Astec-X もんだいないようだ サスペンド復旧後のTCP切断に注意
Office 2007 もんだいないようだ  
VMware もんだいないようだ nat問題解決された。
VirtualBOX 注意が必要 natの問題
TeraTerm/KeySwap もんだいないようだ KeySwapは、管理者権限で実行する。
Firefox/VLC/WinSCP  
Atok/7Zip/NOD32  
Aventail(SONICWALL)  

 

2009.8.20 新規